クロハラアジサシは、旅鳥として飛来するチドリ目カモメ科の鳥類です。
日本各地で見られますが、特に南西諸島でよく見られ、農耕地の上を行ったり来たりしながら狩りをする様子が観察できます。
名前の由来の通り、成鳥のクロハラアジサシはお腹から首までに黒い羽が生えているのが特徴です。
目次
クロハラアジサシの画像
クロハラアジサシの鳴き声
クロハラアジサシは、飛翔中やとまっているときに「ジュ」と鳴き、他に「キッ」と鋭い声や「キジュ」という声も出します。
1羽よりも数羽で行動している時に、よく鳴き声が聴こえてきます。
複数羽で飛翔中の鳴き声
沖縄「小浜島」でのクロハラアジサシ
小浜島のクロハラアジサシは、農耕地や牧草地の上を飛んでいる姿をよく見かけます。
その一方、海岸などで見かける機会は少ないため、畑のアジサシという印象が強いです。
クロハラアジサシの行動は一ヶ所でしばらく飛び回った後、どこかへ行くことが多いですが、またすぐに同じ場所に戻ってくる個体もいます。
1羽で行動していることも多いですが、数羽程度の小群で見かけることも多く、どこからともなく仲間がやってきたりします。
小浜島では食事後に体を清潔に保つ為、農業用の貯水池などに飛び込んで水浴びする様子も見られ、近くの電線にとまって休んでいる様子もよく観察できます。
小浜島でクロハラアジサシに会うには、5月以降に農耕地のそばを歩いているだけで良いと思います。そうすると、どこかで狩りをしているクロハラアジサシの群れに出会うはずです。
同じクロハラアジサシでも、成鳥具合によって羽の色やくちばしの色が違っていたりするので、クロハラアジサシに出会った際は、ぜひ1羽1羽確認してみてください。もしかしたら別種のアジサシが混じっているかもしれません。
会える時期
小浜島でのクロハラアジサシの観察記録 | |||||
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4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
ー | ⚪︎ | ⚪︎ | |||
10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
◎:ほぼ毎日会える|○:数日おきに会える|△:数回しか会えない|ー:会えない|ペア:つがいで確認|若:若鳥確認|雛:雛確認|抱:抱卵確認|鳴:声はするけど姿は見えず(1人での調査記録となります。空欄項目は未調査期間。随時更新予定です。) |
クロハラアジサシの図鑑情報
図鑑情報 | |
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種名 | クロハラアジサシ |
サイズ/体重 | 体長23-29cm(翼開長64-70cm)/約83-94g |
英名 | Whiskered Tern |
分類 | チドリ目/カモメ科/Chlidonias属 |
学名 | Chlidonias hybridus |
漢字 | 黒腹鯵刺 |
時期 | 旅鳥(5月〜10月にかけて各地で観察される) 小浜島を含む南西諸島では、よく見られる |
分布 | ヨーロッパ南部から中央アジア、アフリカ、南アジア、中国東北部、オーストラリアで繁殖するが、繁殖地域は局地的。北方で繁殖した個体は、冬季にアフリカ、インド、オーストラリアに南下し越冬する。 |
環境 | 農耕地、海岸、内湾、港、干潟、湖沼、池、河川など |
行動 | 狩場をしばらく飛翔した後、別の場所に移動するという行動パターンがよく見られる。休憩時には電線にもよくとまる。 飛翔はヒラヒラした感じだが、意外とスピードがある。昆虫類や小魚をよく食べ、ときどき低空飛行をして獲物を探す。空中で捕食したり、水面に浮いているもの、葉先にとまっているものを、飛びながら嘴ですくいあげるようにしてとったりもする。小魚をとる時は、浅いダイビングもする。抱卵日数は19-20日、雛は22-24日で巣立つが、日本では繁殖しない。 |