サシバは、タカ目タカ科の鳥類で、秋の風物詩の一つ「タカの渡り」を見せてくれる鳥さんです。
鎌倉時代からサシバと言われていましたが、名前の由来は「真っすぐに飛ぶ鳥」、越冬地を目指して「一直線に飛ぶ」姿から「差羽・刺羽」または奈良時代の儀式用の団扇である「さしば」が、この鳥の尾羽で作られていたことに由来する説など諸説あります。
南西諸島では冬鳥として一部が越冬しますが、九州以北から本州まででは夏鳥として繁殖行動も見られます。
サシバは、森林や水田の距離が近い里山の環境を好んで子育てをするので、里山の野鳥として古くから知られていました。そんなサシバも時代の流れと共に数を減らし、平成18年12月に改訂された環境省レッドリストで絶滅危惧II類 (VU)に指定されています。
目次
サシバの画像
サシバの鳴き声
サシバは「ピックイー」と大声で特徴的な声で鳴きます。(メスへの求愛、縄張り主張の為)
多くのタカ類はあまり鳴きませんが、それに対してサシバはトビと並んでよく鳴くタカとして知られています。
ピックイー1コール編集
ピックイー4コール
沖縄「小浜島」でのサシバ
小浜島のサシバは、数羽が越冬しにきます。
10月初旬から見られ始め、同個体かは確認できていませんが、1日中、大岳周辺で活動しているので、渡りの最中から越冬•滞在個体が見られます。
飛び出た松の木の枝や電柱によくとまっていて、夕方によく鳴くことが多かったです。
またサシバの渡りを観察できる事もあり、2023年の観察では、石垣島•竹富島方面の海上にて確認されました。
近くに山のある石垣島や西表島がある為、小浜島の標高99mほどの大岳よりも、そちらを寝床として多くが利用するのかもしれません。
その為、大岳の山頂でサシバの大群の渡りを観察するのは、可能性としては低いのかもと観察結果から推察しています。
とは言っても海上の空でサシバの群れが確認されている事から、年によっては大岳の空にもサシバの大群が来てくれるのでは…と期待しています。
10月中に小浜島に訪れた際は、ぜひ小浜島の空を見上げてみてください。
サシバの渡りが観察できるかもしれません。
小浜島におけるサシバの渡り2023
2023年10月1日:夕方、ピピピピクィと鳴くサシバらしき1羽(逆光で確認できず)
2023年10月14日:早朝、サシバ2羽。夕方、サシバ2羽。このまま越冬する個体?
2023年10月18日:早朝、石垣島方面の海上にて、サシバの大群の渡りを確認
2023年10月19日:早朝、西表島方面に向かって、小浜島を通り過ぎる10数羽のサシバを確認
※周辺地域のサシバの渡り事情:10月9日、宮古島にてサシバ700羽。10月14日、石垣島にてサシバ3,000羽。
日本で繁殖したサシバの渡りのメインルートは、長年の観察調査や標識調査•衛星追跡調査で大体がわかっていて、小浜島に飛来するサシバも以下のルートの途中で立ち寄ったり滞在したりしている事が想像できます。
◾️メインルート
佐多岬(鹿児島県)→奄美•沖縄→宮古•伊良部島→石垣島•西表島→波照間島→バタン諸島(フィリピン)→東南アジア一帯で越冬
サブルートとして与那国•台湾ルートがあると考えられています。
会える時期
小浜島でのサシバの観察記録 | |||||
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4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
△ | ー | ー | ー | ー | ー |
10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
○ | ○ | △ | △ | ○ | ○ |
◎:ほぼ毎日会える|○:数日おきに会える|△:数回しか会えない|ー:会えない|ペア:つがいで確認|若:若鳥確認|雛:雛確認|抱:抱卵確認|鳴:声はするけど姿は見えず(1人での調査記録となります。空欄項目は未調査期間。随時更新予定です。) |
サシバの図鑑情報
図鑑情報 | |
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種名 | サシバ |
サイズ/体重 | 雄およそ47cm、雌およそ51cm(翼開長105cm-115cm)/約400-600g |
英名 | Grey-faced Buzzard-eagle |
分類 | タカ目/タカ科/サシバ属 |
学名 | Butastur indicus |
漢字 | 差羽、刺羽、鸇 |
時期 | 南西諸島で冬鳥。 九州以北から本州まで夏鳥。 |
分布 | 中国北部、朝鮮半島、日本で繁殖し、東南アジアやニューギニアで冬を越す。南西諸島でも一部が越冬する。 |
環境 | 平地から山地の林、水田、草地など。 |
行動 | 近くに湿地、谷地田、水田などの採食場のある山地の樹上に営巣する。 爬虫類や両生類を好み、昆虫類、鳥の巣立ち雛やネズミなどもとる。 秋の渡りは9月下旬から10月中旬までで、数十、数百羽にもなって飛ぶことがある。 繁殖期、ディスプレイ飛翔中に雌雄とも「ピックイー」とピとイにアクセントのある声で、これを3回繰り返して鳴くことが多い。 警戒の声も同じだが、一定の間隔をあけて繰り返す。 |