
ムナグロは、冬鳥または旅鳥として飛来するチドリ目チドリ科に分類される鳥類です。
黄色いモザイク状の翼と繁殖期には顔から胸、下面までが真っ黒になる姿が特徴的です。
日本に飛来するのは主にムナグロですが、近縁種のヨーロッパムナグロやアメリカムナグロも稀に飛来するので、野外識別を慎重にしたい鳥さんでもあります。
目次
ムナグロの画像



成鳥夏羽から冬羽へ移行中のムナグロ。黒色が混じったモザイク状な見た目をしています。
ムナグロの鳴き声
ムナグロは「キビィ」「キュビイ」と飛んでいる時に鳴く事が多いです。
澄んだ鳴き声で、シギ•チドリ類らしい通りのいい声です。
喧嘩の鳴き声
飛翔時の鳴き声
沖縄「小浜島」でのムナグロ

小浜島のムナグロは、海岸や牧草地でよく会えます。
6〜7月は姿を見ることはありませんが、春は5月まで、秋は8月からと繁殖以外の滞在地となっているようです。
2023年の観察では、5月のムナグロも8月以降のムナグロも図鑑で紹介されるような真っ黒な成鳥夏羽の個体は見られませんでした。
会える時期
小浜島でのムナグロの観察記録 | |||||
---|---|---|---|---|---|
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 |
○ | ○ | ー | ー | ○ | ○ |
10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
○ | ○ | △ | △ | ー | △ |
◎:ほぼ毎日会える|○:数日おきに会える|△:数回しか会えない|ー:会えない|ペア:つがいで確認|若:若鳥確認|雛:雛確認|抱:抱卵確認|鳴:声はするけど姿は見えず(1人での調査記録となります。空欄項目は未調査期間。随時更新予定です。) |
ムナグロの図鑑情報

図鑑情報 | |
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種名 | ムナグロ |
サイズ/体重 | 全長約24cm(翼開長約60cm)/約140g |
英名 | Pacific Golden Plover |
分類 | チドリ目/チドリ科/ムナグロ属 |
学名 | Pluvialis fulva |
漢字 | 胸黒 |
時期 | 冬鳥または旅鳥。 沖縄県では冬鳥。九州以北では旅鳥で、少数が越冬。 |
分布 | 日本全国。 世界分布では、シベリアとアラスカ西部のツンドラで繁殖し、東南アジアやオーストラリア、インド、アフリカ東部などで越冬する。 |
環境 | 水田、畑、川原、埋立地、干潟、芝地など |
行動 | 干潟や河口などにも生息するが、水辺よりも乾燥した場所を好み、海水域よりも淡水域を好む。 群れで生活しているものが多いが、採食場の草地や畑に降りた後はバラバラに動き回る。 地上を走ったり歩いたりしては、急に立ち止まって採食する。 主に地中の昆虫類の幼虫をとり、ミミズ類や甲殻類などもとる。 6-8月に繁殖し、地上に巣を作り、通常4つの卵を産む。 |
近縁種のヨーロッパムナグロとアメリカムナグロ
ヨーロッパムナグロとアメリカムナグロの写真はありませんが、識別の参考になればと、ムナグロとの違いをまとめておきます。
ムナグロの特徴
- 褐色味が強い
- 白い眉斑が不明瞭(細い)
- 目の後方の離れた場所に斑紋がある
- 三列風切から突出する初列風切が3枚以下
- ほっそりした体型にみえる
ヨーロッパムナグロの特徴
- ムナグロより明らかに大きく、がっしりした体形
- 頭部や体に対して嘴や足が短くみえる
- 眉斑は淡褐色の淡いもの
- 全体的な羽模様がドットを流して散らした印象
- 三列風切から突出する初列風切が4枚
- 腋羽および翼下面が白色
【参考文献:沖縄県国頭郡金武町におけるヨーロッパムナグロ Pluvialis apricariaの日本初記録】
アメリカムナグロの特徴
- 褐色味があまりなく白っぽい
- 白い眉斑がハッキリしている
- 目から頬にかけて斑紋が続いてみえる
- 三列風切から突出する初列風切が4~5枚(ムナグロは3枚以下)
- がっちりした体型にみえる
【参考文献:茨城県霞ヶ浦におけるアメリカムナグロの観察記録】